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経済

「日本国債売り」を仕込む投機筋

「円安株高」後のシナリオ

2013年2月号

「ジムも言っているしね。日本国債十年物の三%台を目指して先物売りとかCDSとか、ともかく始めたところだ」  旧知のヘッジファンドマネジャーが最近の運用戦略を筆者にこう語った。アベノミクスの登場以来、にわかに現出した円安、株高に日本は沸いている。その為替市場、特に円ドル相場の動向を左右しているのは、今や二兆二千億ドルに達したヘッジファンドの運用資金にほかならない。投資戦略策定上、彼らの多くが重視するのがゴールドマン・サックス会長ジム・オニール氏の視点だ。  オニール氏といえば、言わずと知れたBRICsという語の生みの親で、新興国への投資シナリオを定着させたマーケット・ストラテジストの第一人者だ。昨年十一月二十日に「WE WANT ABE!」というレターを投資家に送り、自らが従来の円高基調の見方を捨て円安論者へと立場を変えたこと、さらには「円売り」と「日本株買い」が最良の投資戦略と考えていることを表明した。しかも、円レートの目標設定値は従来「三年以内に百円」だったが、安倍内閣発足以降は「二年以内に百~百二十円」と修正している。  オピニオンリーダーがこのような大胆な目標値を断・・・