「国土強靭化」のまやかし
莫大な税金が「選挙対策」に消える
2013年2月号
道路や橋の安全のために組まれた予算を、政治家は様々な口実をつけて流用した。安全を大義名分にすれば、補修、改修以外の項目にもお金が流れたからだ。補修より新設に予算が振り向けられる構図は変わらず、「建設の時代から維持・管理の時代」への掛け声はむなしく終わった――。
米国で二〇〇〇年代に入って相次いだ道路や橋の崩落の問題点を暴いた『TOO BIG TO FALL』(Barry B. LePatner著、二〇一〇年刊行)は、地味でも不可欠な点検・補修より、票目当ての派手な工事を好む政治家が、社会資本を蝕む様子を描いた。それは、東日本大震災で浮かび上がった国土の脆弱さの克服を大義名分として公共事業を拡大する、安倍政権の「国土強靭化」政策に対する警鐘のようにも見える。