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WORLD

「沈む」中国と「昇る」ASEAN

「大転換」が始まったアジア経済

2013年2月号

 潮目の変化は突然にやって来る。つい最近まで世界第二位の経済大国、中国に怒濤の勢いで向かっていた世界の企業やマネーが向きを変えた。今、目指しているのは東南アジアである。中国の昨年の国内総生産(GDP)伸び率は七・八%。世界で有数の高度成長だが、グローバル企業は全体としては五%台半ばの伸び率の東南アジア諸国連合(ASEAN)の方に注目し、期待をかける。一体、アジア経済に何が起きているのか。  まず、確認しなければいけないのは中国の成長鈍化、最近、盛んに語られるようになった高度成長の終焉である。中国の四半期ベースのGDP伸び率を見ると、今世紀に入って最も高かったのは二〇〇七年第2四半期の一四・八%。まさに昇り龍の勢いだった。だが、そこをピークに米金融市場の混乱などで景気は悪化、〇八年のリーマンショック後の〇九年第1四半期には六・六%まで減速した。中国政府は四兆元の財政出動で景気失速を食い止め、成長率は一時的に再び上向き、中国経済の強さを示したかに見えたが、一〇年第4四半期の九・八%以降、昨年第3四半期まで七・四半期連続で低下した。中国政府は新たな財政出動で景気浮揚を図っているが、昨年・・・