「生殺し」のアサド
「とどめ」の能力欠く反体制派
2013年2月号
「二〇一三年を、再び六万人のシリア人を殺す年にしてはならない」。一月中旬、英国のヘイグ外相はこのように述べて、平和的な手段でシリア問題が解決されるべきと訴えたが、英国を含め、軍事介入の選択肢をもたない欧米に和平実現の具体策はない。一般市民を狙った重火器での容赦ない攻撃と、これに対抗する虐殺行為の応酬は激しさを増す一方で、このペースでいけば、一年を待たずして犠牲者が倍増する恐れすらある。本稿執筆時点で辞任が噂されているブラヒミ国連・アラブ連盟共同特使も、シリア及び関係当事国を歴訪した結果、何ら進展がなかったことを認めており、一月末に予定されている安保理での説明を機に匙を投げるつもりであろう。
地元の評論家は、「アサドがもはや死に体で、復活の可能性がないことは明らかだが、今でも血塗られた玉座にしがみついていられるのは、反体制派が一体何を、どうしたいのかさっぱりわからないからだ」と評している。つまり、アサド政権が冷血非道な独裁政権だということも、また国民に大砲を向け、既に大統領としての正当性を失っていることもわかりきっているので、この際問題ではない。しかし、これを追い落とすべき立場の・・・