欧州を目指すイスラム・テロ
アルジェリア事件は序章に過ぎない
2013年2月号
アルジェリアで一月十六日に発生した人質事件は、同国軍の強引な制圧作戦により終結したが、欧州諸国はもちろん、多くの犠牲者を出した日本をも揺るがした。しかし、これはマリやアルジェリア、ナイジェリアなどサハラ砂漠周辺国のイスラム過激派が強大化しているという事実が表出した一現象だ。フランスを筆頭とする欧州諸国への過激派による宣戦の狼煙が上がった。
ちょうど一年前、本誌二〇一二年二月号「アフリカ北部が『第二のアフガン』に」で指摘した通り、サハラ周辺地域は着々とイスラム過激派の巣窟と化してきた。きっかけは「アラブの春」であり、北大西洋条約機構(NATO)によって成し遂げられたリビアでの政権交代が、巡り巡って欧州に刃を突きつけている。
今回の事件で、アフリカの土着組織であったイスラム過激派が想像以上のスピードで国際化、強大化していることが明らかになった。あわせて、これまでの麻薬・誘拐ビジネスとは違う「聖戦」を始めたことも浮き彫りとなった。