アフリカで激化する米中の「暗闘」
米国「紛争鉱物規制」の真意
2013年2月号
米議会では、重要法案の成立時に、法案の本来の狙いにほとんど無関係な条項が付け加えられることがある。金融改革を目指して二〇一〇年七月に成立した「ウォール街改革及び消費者保護に関する法律(ドッド・フランク法)」の第一五〇二条は、その典型だ。
同条項は米証券取引委員会に登録している企業に対し、自社製品に「紛争鉱物」が使われている場合の情報開示を義務付けた。指定された紛争鉱物は、コンゴ民主共和国と周辺八カ国で採掘されるスズ、金、タングステン、タンタル原石の四種類。コンゴでは一九九六年の第一次内戦勃発以降、複数の武装勢力がこれら四品目の鉱山の一部を支配し、資金源とする事態が深刻化している。
同法に罰則規定はないが、自社製品の一部が武装勢力の資金源だと分かれば企業イメージの悪化は必至で、市場から事実上の「退場」となる。今年一月の同条項施行に伴い、米企業に中間品を輸出している日本の製造業各社も対応を迫られている。
米経済に与える影響は無視できず、米ハイテク業界からは規制強化に戸惑いや懸念の声が出ている。さらに言えば、コンゴの紛争鉱物の問題は遅くとも一九九〇年代半ばには深刻化して・・・