アップルを拒むドコモの「社内政治」
傷口は日に日に広がるばかり
2013年1月号
「なぜNTTドコモは米アップルのiPhoneを販売しないのか」。海外株主からこう問い詰められたNTTグループ幹部は苦し紛れにこう返答したという。「iPhoneもいつまでも隆盛というわけではない。熟れすぎたリンゴはいずれ枝から落ちる」。
「そんなことは分かっている。それでも熟れているうちに食いつくのが経営者ではないのか」。すかさずこの株主がこう切り返すと、同幹部は返す言葉を失ったという。
携帯電話大手三社が十二月七日に発表した十一月の携帯電話契約数で、ドコモの契約数が実に五年三カ月ぶりに減少に転じた。新規契約数よりも解約数が上回り、差し引き四万八千件の「純減」となったのだ。減少幅は業界団体である電気通信事業者協会が契約数の公表を始めた一九九六年以降で最大となった。
ドコモのこれまでの純減では二〇〇七年八月の二万二千九百件が最大。だがこの時の純減は同社が家族割引を導入する直前だったため、ユーザーの買い控えが生じた要素が大きかった。つまり、特殊要因を除けば、九一年の会社設立以来、携帯電話の普及とともに一貫して右肩上がりの成長を続けてきたドコモの加入者数が初めて減少に転じ・・・