原油市場の高騰はまだ続く
「シェールガス革命」でも下がらない
2013年1月号
世界経済の低迷は二〇一三年も続きそうだ。国際通貨基金(IMF)は、時間の経過とともに、世界の経済成長率見通しの下方修正を繰り返し、一三年の実質成長率を三%台としている。今世紀以降の目安となる年率五%を下回る水準だ。もちろん世界経済低迷の震源地は欧州だが、中国経済にも波及し、世界の原油需給は一層緩和されることになるだろう。一三年は世界の石油需要の伸び率は年率〇・九%以下と低迷することが予想されている。
だが一方で、こうした石油需要の低迷にもかかわらず、国際指標原油である北海ブレント原油価格は、この一年も一バレル百五~百十ドルと高値に張り付いたままだ。実需から乖離したいびつな構造がもはや常態化した感のある原油市場だが、この高止まりは一三年もどうやら続くことになりそうだ。イランの核開発問題やパレスチナ情勢など中東の地政学リスクは燻るが、それは理由の一面でしかない。より重要な背景は、一二年のエネルギー市場を彩った米国発の「シェールガス・オイル革命」が、ここにきて急速に色褪せ始めているという現実だ。特に、アジアの原油需給を緩和させると期待されていた中国での「革命頓挫」が、今後の原油市況・・・