中東の新たな火種「コプト教徒」
「反イスラム」過激派に要注意
2013年1月号
「虚構から現実が創られている!」
二〇一二年九月、預言者を冒涜した映画問題に端を発する抗議活動がイスラム諸国に瞬く間に広がる中、あるアラブ人有識者がフェイスブック上で叫んだ言葉だ。意味不明なストーリー展開、後から無理矢理合成した砂漠の背景、本業とは思えない大根役者たち。『無邪気なイスラム教徒』を視聴してみれば、「冒涜」以前の問題として、そもそも「映画」とは呼べない作品であることは一目瞭然であった。ユダヤ系米国人筋から五百万ドル(四億円強)も寄付されたとは思えないあまりに低俗な代物だ。実際、この「動画」は七月一日に部分的にユーチューブにアップされても、ほとんど誰にも相手にされていなかった。
ところがコプト過激派の代表格として知られるモリス・サデク「全米コプト協会」会長や、コーラン焼却事件で有名となったテリー・ジョーンズ牧師が、この映画を「地道に」宣伝し続けた。エジプト方言吹き替え版まで用意された結果、九月十一日を機にイスラム世界全域で抗議活動が激化、米外交関係者だけでなく、イスラム教徒の間にも多数の死傷者が生じた。果たして、今後もこのような虚構から現実の悲劇が生じないと言・・・