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ユーロ危機「次の火種」はフランス

経済「失策」連発のオランド政権

2013年1月号

 フランソワ・オランド仏大統領の社会党政権が、時代遅れの社会主義政策をひた走っている。「緊縮財政より経済成長」を掲げて当選しながら、経済再生策は全く打ち出せず、国策会社に雇用維持を迫るばかり。ゼロ成長、富裕層重税、労働組合優遇で、二〇一三年のフランスは、ユーロ危機の新たな焦点になりそうだ。

「いざとなれば国有化する」

 事件は十二月半ば、パリ郊外のオルネースーボワで起こった。この地にあるプジョー・シトロエン(PSA)工場の労働者が、同社のリストラ計画に抗議して事務所に乱入。本棚を倒したり、テレビや観葉植物を倒したりと、粗暴な破壊行為に走った。フランスは日米に比べ労組の示威活動に遥かに寛容だが、この蛮行には仏メディアも批判的だった。  ところが労組本部だけでなく、仏政府も沈黙した。社会党政権は、PSAが一二年七月に「オルネースーボワ工場閉鎖」など八千人削減計画を発表すると、これに断固反対して、労組を勢いづかせた張本人。党内左派の指導者であるアルノー・モントブール産業再生相は、「自動車産業には多額の公金が出ている。(リストラで譲歩しなければ)公・・・