十二月十四日に米コネティカット州で起きた銃乱射事件を受けて、オバマ大統領がようやく銃規制に向けて重い腰を上げた。ただ、二期目のスタートに、最も分極化の激しい問題に取り組むのは大きな政治的リスクを伴う上、無数の抜け穴を埋めるのは不可能だ。銃社会アメリカは、容易に治癒できない深い闇を抱えている。
三億丁の銃は回収されないまま
二十七人の死者を出した惨劇の五日後、ホワイトハウスの記者会見に臨んだ大統領は、その真骨頂を見せた。熟慮された、スキのない表現や、反論を先回りして封じ込める周到さは、一期目の医療保険改革や金融規制改革の戦いで見せた、したたかなオバマだった。ジョー・バイデン副大統領をトップにすえ、関係閣僚を総動員したチームに、「一月中に提案」と期限をつけた。一期目の四年間、銃規制に全く動かなかったオバマの突然の変貌に、マイケル・ブルームバーグ・ニューヨーク市長(元共和党)ら銃規制派は、「大いに勇気づけられた」と賛辞を惜しまなかった。
「子供が多数犠牲になる悲惨な事件で、世論が『銃規制賛成』に一気に傾いた。ホワイトハウスはこの絶好機を逃す手はな・・・