三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

中国との友好関係は日本に不可欠

エズラ・ヴォーゲル(ハーバード大学名誉教授)

2013年1月号

 ―二〇一三年は米中両大国で新体制が本格的に始動しますが、どう付き合っていくべきでしょうか。
 ヴォーゲル
 二期目に入った米国のオバマ政権に関し、日本では米議会のねじれ状態や軍事費削減の影響を懸念する向きもあるが、アジアでの米国のプレゼンス低下の心配はない。むしろ、米国で日本への関心が急速に低下していることこそ憂うべきだ。近年、日本には安定した政権が誕生しておらず、首相は毎年代わる。これでは米国も時間を使って日本の首相と親交を深める意味はないと感じるのは当然だ。これは中国も同様で、心配なのは、最高指導部とは違い、人民解放軍の一部には、日本と本気で戦いたいと考える勢力が一定程度いるという現実だ。それだけに、なおのこと中国新政権との対話チャネルは重要だ。日本はまず政治の安定とともに、米中両国につながる政治的パイプの重要性を再認識すべきだ。

 ―日本の政治の混乱が日米同盟を劣化させたとの指摘も多いです。
 ヴォーゲル
 来年、再来年どうなるかわからない日本の政権とは、踏み込んだ議論ができない。同盟国ではない中国とでさえ、二~・・・