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社会・文化

焼け太りする「サイバー警察」

お粗末な捜査能力

2012年12月号

 十一月一日、警察庁は情報技術解析課に新たに「不正プログラム解析センター」を設置した。コンピューターウイルスの情報を一元化して、各都道府県警の捜査に活用するという。全国の警察から十人ほどを選抜して解析官にする。  遠隔操作ウイルスによる誤認逮捕事件や、同時期に発生したインターネットバンキングのカード情報不正取得など、相次ぐネット犯罪に手を焼く警察は、必死で態勢作りをアピールしている。 「警察は自らの捜査手法の横暴は無視して、論点をすり替えているだけ。上層部の化石化した考えのせいで無駄を垂れ流している」  警察庁担当の社会部記者はこう語る。同庁は、情報を集約する解析センターを作る一方で、各都道府県警にサイバー捜査員を増員する要求を政府に出している。しかし捜査員の質は低く、単に態勢強化を口実に組織を肥大化させているに過ぎない。

無駄な人員拡大

 警察庁が提出している二〇一三年度予算の概算要求では、分野別要求の筆頭として「サイバー空間の脅威への対処」が掲げられている。要求額は約二十四億円で、前年度予算(約十五・五億円)から八億五千万円増額・・・