三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

「完全復活」遂げる電力業界

「改革論議」を見事に潰す

2012年12月号

 それはまさに、電力業界から凱歌が上がった瞬間だった。野田佳彦首相は自民党の安倍晋三総裁との党首討論で、「唐突に」衆院解散を宣言。日本に混乱、停滞、閉塞をもたらした民主党政権の退場を期待し、国民は大いに沸いたが、中でも温暖化対策、福島第一原子力発電所事故対応、東京電力処分、原発再稼働問題などで散々煮え湯を飲まされ続けた電力業界の喜びはひとしおだった。とりわけこの時期の解散は、電力業界の将来を占う上で意義が大きい。「発送電分離」と「完全自由化」という二大改革を骨抜きにし、原発中心の電力システムを復活させる千載一遇の「好機」だからだ。

平然と民主党を恫喝

「電力システム改革専門委員会」―福島第一原発事故を受け、既存の電力会社による支配体制の打破を狙って立ち上げられた同委員会は、電力各社による抵抗を何とか跳ね返し、七月に発送電分離と家庭向け小売り完全自由化を盛り込んだ基本方針をまとめた。その基本方針に沿って詳細な改革の中身を詰める作業は十一月に始まり、年内に結論を得る段取りだった。  これに対し、民主党と世論の包囲網の中で発言力を失った電力業界が・・・