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経済

KDDIの危うい「反転攻勢」

「一発屋」田中社長の止まらぬ暴走

2012年12月号

「日本の主要な携帯電話会社は三社になった。これ以上の再編はよくない」―。KDDIの田中孝司社長は十月十七日、都内での携帯電話新製品発表が終わるやいなや、記者団に囲まれるとこう語った。この二日前、ソフトバンクが北米携帯電話三位のスプリント・ネクステルを一兆五千七百億円で買収すると発表、これより前の十月一日には同社は国内携帯電話四位のイー・アクセスの買収を発表していた。これにより国内携帯電話三位に転落するKDDIの田中氏はその感想を求められたのだ。  田中氏の言葉をニュースで知ったKDDIの社員は「半年前に言っていたことと違うじゃないか」と憤慨する。今年四月の決算発表の直後、田中氏はKDDIの社内でこんな演説をしていたという。「五年以内に国内の携帯電話会社は二グループに再編される」―。この言葉は社員に危機感を持たせるためのアジテーションだが、「三番目になったら生き残れない、どこかとくっつくしかない、という意味だと受け止めた」(同社員)。

「Tモバイルの買収を検討しろ」

 KDDIがイー・アクセスの買収を検討していたことは先月号の本誌でも示した。・・・