りそなが「跡目争い」で分裂の危機
大阪と埼玉で燻る独立機運
2012年12月号
「名実ともに鎹が外れた。次期経営体制を固める作業に入る年明けから来春にかけて、グループ内の至る所でのさや当てがはじまり、旧行間の軋轢が高まって人事抗争が激しくなるのではないか」。りそな銀行OB首脳はこう予言する。
二〇〇三年六月にりそなホールディングス(HD)の会長に就任して以来、およそ九年間にわたってグループに君臨し続けた細谷英二氏が十一月四日、自宅での闘病生活の末に亡くなった。一一年一月に体調を崩して倒れ、一度は復帰したものの、周辺筋によると「二日以上の外泊には完全にドクターストップがかかっていた状態。国内出張さえままならない有り様だった」という。
それでも細谷氏という「張り子」(りそな銀中堅行員)が存在していたことで「一定の求心力と行内秩序が保たれていた」(HD関係者)とされるが、いまやそれすら失せたのである。メガバンク筋の間では「求心力が強かった分だけ、その反動で遠心力もまた大きいはず。組織が一挙に流動化する可能性もある」との見方すら飛び交う。