トヨタに染み付く「低収益体質」
台数至上主義が招いた小型車偏重
2012年12月号
二〇一二年十一月五日、トヨタ自動車が一三年三月期の業績修正を発表した。その内容は営業利益を五百億円上乗せし、一兆五百億円とする「上方修正」だった。だが、一兆円という当初の巨額の営業利益からみれば、わずか五%の調整にすぎない。
「年度末が迫り、ほぼ確定した数字として発表するならまだしも、今年度を三分の一も残したこの時期の五%など誤差の範囲。なぜ、この程度のことで上方修正をしたのか」と、全国紙の自動車担当記者は首をかしげる。
もちろん、この「奇妙な」発表の裏には、トヨタが覆い隠したい「不都合な真実」が潜んでいる。先に大々的に打ち出した一二年一~十二月の「世界生産一千万台超え」の目標を公式に断念せざるを得なくなったのだ。