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政治

《罪深きはこの官僚》西 正典 (防衛省防衛政策局長)

普天間「固定化」を決定づけた張本人

2012年12月号

 沖縄県の米軍普天間飛行場を名護市辺野古に移設する日米合意は死文化し、米軍垂直離着陸輸送機オスプレイの普天間配備には地元が猛反発している。こうした重要案件を一手に担うのが防衛省の西正典防衛政策局長である。日米同盟の屋台骨を支えるポストだが、防衛省・自衛隊では「仕事をせず居眠りばかり。案件は部下に丸投げして、本人は評論家然として講釈するだけ」と悪評が絶えない。日米協議でも「ほとんど発言しない」と両政府関係者は証言する。「日本は米側の言いなり」との世論の批判もむべなるかな。その元凶をうかがわせる人物評である。

 日米は今年四月、米軍嘉手納基地より南の米軍五施設・区域の順次返還で合意し、年内に具体的な返還時期を明示した計画を策定する方針を確認した。それまでは、辺野古移設を前提に在沖縄海兵隊八千人をグアムへ移転し、五施設・区域の施設返還も進めることになっていた。いわば「普天間を動かすテコ」を失ったわけで、これを主導したのも西その人だった。

 日米合意に先立つ今年一月、キャンベル国務次官補から普天間移設と海兵隊グアム移転、五施設・区域返還を切り離すと提・・・