安倍晋三は「高転び」する!?
選挙後も政治の「液状化」は続く
2012年12月号
「なったつもりが一番危ない。まだ野党なんだから」―。
自民党幹事長石破茂は顔を曇らせた。十二月十六日の衆院選投票日が迫る中で総裁安倍晋三の突出発言が止まらないからだ。その象徴が大規模な金融緩和策の提唱だった。
「輪転機をぐるぐる回して、日本銀行に無制限にお札を刷ってもらう」「建設国債は日銀に全部買ってもらう」
次の首相の座が至近距離に迫った安倍の発言は市場を大きく動かした。円安、株高で連日のように市場が活況に沸いた。「安倍相場」ともてはやされた。安倍自身も「野党の発言がこれほど市場に影響を与えたことはない」と自信満々。さらに発言はエスカレートする。安倍の口は止まらない。首相野田佳彦にも容赦のない攻撃を加えた。
「野田さんは、日銀は指一本触れてはいけない存在のように言っているが、全くの間違いだ。民主党との勝負はあった」
安倍は側近たちとの会合では「日銀総裁は一〇〇%代わってもらう」と話し、現総裁白川方明の更迭にまで言及した。しかし、安倍発言は野党だから許されること。「本当に政権が来たら第二の鳩山由紀夫になる」と真顔で心配する声が党内からも公然と聞こえるようになった・・・