江沢民派で固められた習近平体制
徹底的に干される共青団派
2012年12月号
激しい党内闘争が終わった。党大会が幕を閉じた十一月十五日、中国共産党の新しい総書記となる習近平が政治局常務委員のメンバー六人を従えて記者会見に登場した。いつもは仏像のような謎に満ちた微笑で本心を悟らせないが、さすがにこの日は喜びの感情が浮かんでいた。その微笑がさらに崩れた瞬間があった。司会者が「党中央軍事委員会主席」の肩書を読み上げた時だ。
前任者の胡錦濤が総書記引退と同時に軍事委主席も引退するかどうか。これが、共産主義青年団(共青団)派のリーダー・胡錦濤と保守派の長老・江沢民との抗争の最後の焦点。胡錦濤の敗北だった。定年後、すべての役職を退くことを中国語で「裸退」という。
胡錦濤が政治局常務委員になったのは一九九二年、天安門事件後の最初の党大会となった第十四回大会。それから二十年間も常務委員の座にいたが、いつも目の上のこぶのような江沢民の圧力にさらされ続け、裸退に追い込まれた。嬉しそうに笑った習近平は、重石のない形で党権力と軍権力を継承できてほっとしたに違いない。