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いまや中国の不治の癌「黒社会」

「腐敗打破」は画餅

2012年12月号

「腐敗が蔓延すれば共産党の統治が崩壊する」  十一月十五日に中国共産党総書記、中央軍事委員会主席となった習近平氏は、就任後初の政治局集団学習会の場でこう警告した。共産党地方組織ではびこる汚職構造を放置すれば「亡党亡国」になるとの危惧を露わにし、対策に乗り出す強い決意表明だった。  しかし、中国の腐敗の原因は「黒社会」である。地方の小都市の党委員会から中央に至るまで政治機構に密接に食い込んだ黒社会を摘発するということは、共産党自身を摘発することと同意だ。「どの口が言う」と失笑した国民が多かっただろう。黒社会による被害を取材した中国人ジャーナリストはこう語る。 「下手なことをすれば、黒社会がより巧妙化して社会を揺るがす」  カムフラージュの兆候は既に出ている。広東省の中堅都市で衣料工場を持つ会社経営者はこう語る。 「最近では黒社会の会社組織化が進んで、取引企業のように振る舞っている」  これまでもいわゆるフロント企業然としたものは存在したが、その範囲を拡大しているという。「打黒」といわれる取り締まりが行われる中で、社会に溶け込む動きだ。北京の社会学者の一人は警鐘を鳴・・・