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トルコ「双頭体制」に異変あり

好調「地域大国」の前途に暗雲

2012年12月号

 トルコを一躍「地域大国」に押し上げた立役者であるエルドアン首相とギュル大統領の確執が、いよいよ本格化してきた。トルコ政界きっての両巨頭はこれまで、互いの違いを踏まえつつ、真っ向からぶつかる事態を避けることで関係を維持してきたが、十月末の建国記念日にとうとう「地雷」を踏んだ。確執の根源は二〇一四年に控える次期大統領選だ。エルドアン首相が国家元首の座を狙っているのは半ば公然の秘密だが、その野望を阻むかのごとく、ギュル大統領が再選意欲をちらつかせ始めた。両氏の摩擦が激化すれば、共通の支持基盤である与党・公正発展党(AKP)は分裂の危機に陥りかねず、トルコの前途に暗雲が垂れ込めている。

「初の民選大統領」を巡る確執

 オスマン帝国の崩壊を乗り越え、世俗国家として再生させた国父アタチュルクによる近代トルコ建国八十九周年を迎えた十月二十九日、首都アンカラでは、二万人とも五万人ともいわれる大群衆がアタチュルクの眠る霊廟前に詰めかけた。当局は「建国記念の機に乗じて社会を混乱させようと画策しているグループがある」と事前に集会を禁じ、警官隊が出動して周囲を封鎖して・・・