トルコ「双頭体制」に異変あり
好調「地域大国」の前途に暗雲
2012年12月号
トルコを一躍「地域大国」に押し上げた立役者であるエルドアン首相とギュル大統領の確執が、いよいよ本格化してきた。トルコ政界きっての両巨頭はこれまで、互いの違いを踏まえつつ、真っ向からぶつかる事態を避けることで関係を維持してきたが、十月末の建国記念日にとうとう「地雷」を踏んだ。確執の根源は二〇一四年に控える次期大統領選だ。エルドアン首相が国家元首の座を狙っているのは半ば公然の秘密だが、その野望を阻むかのごとく、ギュル大統領が再選意欲をちらつかせ始めた。両氏の摩擦が激化すれば、共通の支持基盤である与党・公正発展党(AKP)は分裂の危機に陥りかねず、トルコの前途に暗雲が垂れ込めている。