「シリア」は喰い物にされている
米欧は格好の武器消費地として
2012年12月号
専門家の間で言い古された格言のひとつに、「中東では十年毎に大事件が起きる」というものがある。一九七三年の第四次中東戦争以降、イランでイスラム革命が起こりイラン・イラク戦争が勃発したのが一九七九~八〇年、イラクのクウェート侵攻と湾岸戦争は一九九〇~九一年、そして9・11攻撃と対テロ戦争の開始は二〇〇一年という具合にぴたりと十年周期だ。律儀なことに、一一年には「アラブの春」まで起きた。
もちろんこの間、中東に砲火の音と流血はやまなかったが、ここに言及した戦争・動乱は時代の節目となり、世界の政治と経済に重大な影響を与えた大事件であった。なぜこのような現象が見られるのか、と問えば、それは次の事実、すなわち、この地域が世界の主要な武器市場であり消費地であり続けている事情と無関係ではなかろうと思われる。
米連邦議会調査局の報告によると一一年に米国が国対国で供与した軍備の断トツ一位はサウジアラビアで三百三十四億ドル(契約額)であった。また、直近の対「近東」武器供給先のシェアでは米国は七八・九%で二位のロシアの五・二%を圧倒的に引き離していた。先月の本欄で紹介したロシアのイラクへの四・・・