ノルウェー「財政黒字」の理由 資源に頼り過ぎない国づくりの成果 2012年12月号 北欧ノルウェー経済が好調だ。ユーロ圏の近隣諸国が歳出削減であえぐ中、今年度もGDP比で一一%超の財政黒字の見通しだ。原油高が追い風とはいえ、将来を見越した計画的な国づくりが成果を挙げているのは間違いない。資源利用から政治、人口、社会政策の隅々まで、「ノルウェー・モデル」は学ぶところが満載である。 常に「脱石油」をにらむ 昨年のテロ事件の傷跡が残るオスロ官庁街。四キロほど離れた、公園沿いにある石油エネルギー省は今夏、空前のにぎわいを見せた。北海油田の掘削許可申請が過去最高の四十七件に達し、業界から「ゴールド・ラッシュ」と評された。北海油田全体では減産が続いているが、同省の当局者は「相当量の資源が眠っていることが相次いで判明した。各社の関心の高さは当然だ」と言う。 「スーパーメジャーがそろい踏みした。既存の油田でコストが安いのも魅力。向こう数年間は、投資の記録更新が続くでしょう」と、業界関係者。原油輸出で世界第七位、天然ガス輸出で同二位の資源大国は、当面安泰だ。石油部門に引っ張られて税収も増え、シグビョーン・ヨンセン財務相は、「世界経済は大・・・