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WORLD

独仏に「見限られた」英国

現実味増す「EU脱退」

2012年12月号

 イギリスが欧州連合(EU)から切り捨てられる瀬戸際に立たされている。単一通貨ユーロの外にいて「特別な立場」ばかり要求する英国に、大陸欧州が愛想を尽かしているためで、金融問題を話し合う十二月のEU首脳会議をはじめとして、重要会議では今後、蚊帳の外に置かれる可能性が強い。  オバマ米大統領の再選が決まった翌日の十一月七日、アンゲラ・メルケル独首相が欧州議会で爆弾を落とした。「島国とはたいそう結構なことでしょうが、この世界で全く孤立するのが幸せなわけはありませんよ」。欧州のボスが、「英国のEU脱退」を、現実的な文脈で論じた。ほんの最近まで、「Grexit(ギリシャのユーロ脱退)」が語られていたのに、「Brexit(英国のEU脱退)」のほうが現実味を増している。 「ムードは昨年末からがらりと変わった。英国が脱退するか否かの論議に、大陸諸国は『どうぞ、お好きに』という姿勢だ」と、欧州問題をカバーする英国人記者が言う。

EU政治の主流から遠ざかった

 メルケル首相はこの夜、ロンドンを訪問して、デビッド・キャメロン英首相と会談した。二人は欧州の首・・・