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米「中国封じ込め」第二段階へ

深刻な「政治腐敗」を見透かす

2012年12月号

 アジアに軸足(ピボット)を移したいわゆる「ピボット政策」の第一段階で、オバマ大統領は同盟諸国を中心に友好諸国も束ねて、非公式ながら中国を取り囲むような安全保障上のネットワークをつくり上げた。さらに、再選を決めるや否や、タイ、ミャンマー、カンボジアを訪問した。タイとは同盟関係を確認し、民主化を目指しながらも腰の据わっていなかったミャンマーを事実上中国から切り離してしまったと言っていいだろう。  南シナ海で領有権主張の横車を押してくる中国に対して団結を誇示しなければならないのは東南アジア諸国連合(ASEAN)だが、その中で中国の代弁をしてことごとに不協和音を奏でているのはカンボジアだ。その首都プノンペンで十一月十八日から開かれたASEAN首脳会議においてオバマ大統領が示した言動は、政治体制の民主化と市場経済がいかにその国に繁栄をもたらすかの教訓となったはずだ。勢いのついた米外交に比べて温家宝首相ははっきり言って精彩を欠いていた。退陣を間近に控えているせいもあるだろうが、国内に所得格差の拡大などいくつもの矛盾を孕んだ中国で、とりわけ指導部による蓄財などの腐敗問題が国を揺るがすような重・・・