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社会・文化

関東は「寝たきり老人」だらけになる

リハビリ療法士「逼迫」の窮状

2012年11月号

「このままでは関東・東北は寝たきり老人で溢れてしまう」  医療関係者の間で現実味をもって語られ始めたのが、リハビリテーション(以下、リハビリ)の担い手不足だ。リハビリは、高齢者の寝たきり予防の柱の一つである。「お年寄りが怪我や病気になった場合、早くリハビリを始めれば、それだけ効果的」(高齢者医療関係者)というのは今や常識だ。  リハビリに関する研究は日進月歩である。怪我や脳卒中からの回復期は勿論、最近では心筋梗塞や呼吸器疾患などの内科患者や外科手術後にも積極的にリハビリが行われる。

大量の患者が「難民化」

 医療機関でリハビリの主力となるのが理学療法士という専門家たちだ。理学療法士とは、厚生労働大臣が認可する国家資格であり、約五万人が医療施設で働いている。  リハビリを担うこの理学療法士の数が、関東・東北などの東日本で著しく不足している。例えば、人口一千人あたりの理学療法士数は東北、関東がいずれも〇・四五人だ。一方、中部地方より西は多い。中部〇・六〇人、近畿〇・六三人、中国〇・七二人、四国一・〇人、九州〇・九四人だ。四国・九州は・・・