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社会・文化

尖閣「不測の有事」は起こるか

離島奪還訓練「中止」の深層

2012年11月号

 野田政権が沖縄県の尖閣諸島を国有化して以降、日中間の対立が報道されない日はない。日本政府は表向き、自衛隊や海上保安庁による警戒監視を強めると同時に、米国との連携強化をアピールして中国を牽制してきた。だが内実はお寒い限り。頼みの綱である米国が及び腰で、日本の孤立感が深まっている。中国も事を構える反動を考慮しているとみられ、尖閣をめぐる日中の軍事衝突が近々生起する可能性は高くはない。だが、紛争防止の鍵を握る日米同盟による抑止力の低下は否めず、日本は米中のはざまで埋没しかねない。

尖閣の実効支配を弱める「密議」

 十月三日夕、首相官邸で開かれた沖縄問題全般に関する関係閣僚会議は政府の内情を投影している。沖縄問題というのは口裏合わせで、マスコミはこの嘘に乗せられて報道した。実は、沖縄といっても普天間やオスプレイの話ではない。本当のテーマは尖閣周辺での海上自衛隊艦船の配備問題だった。出席者として公にされたのは野田佳彦首相、森本敏防衛相、玄葉光一郎外相、藤村修官房長官。だが実際には、このほかに黒江哲郎防衛省運用企画局長、北村隆志海上保安庁長官、外務省幹部も・・・