尖閣「不測の有事」は起こるか
離島奪還訓練「中止」の深層
2012年11月号
野田政権が沖縄県の尖閣諸島を国有化して以降、日中間の対立が報道されない日はない。日本政府は表向き、自衛隊や海上保安庁による警戒監視を強めると同時に、米国との連携強化をアピールして中国を牽制してきた。だが内実はお寒い限り。頼みの綱である米国が及び腰で、日本の孤立感が深まっている。中国も事を構える反動を考慮しているとみられ、尖閣をめぐる日中の軍事衝突が近々生起する可能性は高くはない。だが、紛争防止の鍵を握る日米同盟による抑止力の低下は否めず、日本は米中のはざまで埋没しかねない。