シェールガス革命に早くも「暗雲」
立ちはだかる米欧ロ「資源メジャー」
2012年11月号
この二、三年、世界のエネルギー業界を揺さぶってきたのは米国に始まったシェールガスの台頭だ。言うまでもなく、従来の天然ガスと成分は同じだが、まったく異なる地層に貯留され、今までエネルギー資源として認知されてこなかった天然ガスである。一九九〇年代から様々な開発の試みはあったものの、頁岩層に人工的にひびを入れ、ガスを導き出すという生産手法が不安定かつ高コストで商業化にはなかなか至らなかった。それがITとセンサー技術の進化による地層の正確な把握、水平掘りや地層にひびを入れるフラクチャリング技術の革新で生産コストが劇的に下がり、二〇〇三年からの原油、天然ガスなどエネルギー価格の高騰という追い風もあって、大ブレークした。
減退していた米国の天然ガス生産は息を吹き返し、ロシアを抜いて世界最大の天然ガス生産国に復帰するとともに、米国内でパイプラインで流通する天然ガスの価格は急落、熱量ベースで原油換算にすると一バレル十五ドル程度と原油そのものの六分の一以下まで値下がりした。もちろんシェールガスは米国にだけ存在するものではない。米国のシェールガス革命をみて、世界各国はシェールガスの探査に乗り出し・・・