ソフトバンクを襲うもう一つの「危機」
イー・アクセス買収で浮上する「密約説」
2012年11月号
ソフトバンクによる米携帯電話三位、スプリント・ネクステルの巨額買収、マイクロソフトによる新型OS「ウィンドウズ8」の日本投入、アップルの小型タブレット「iPad mini」の発売、アマゾンの電子書籍端末「キンドル」の日本上陸―。
二〇一二年十月はこうした世界のIT業界大手による大型発表が目白押しとなった記念すべき時期として後々まで記憶されることだろう。しかし、ドッグイヤーと呼ばれるめまぐるしい時代の流れに任せて忘れ去って良いことと、悪いことがある。
すでに忘却の彼方にあるように感じる、ソフトバンクによるイー・アクセス買収だ。十月一日、ソフトバンクはイー・アクセスとその傘下にある携帯電話サービス「イー・モバイル」を完全子会社化する、と発表した。
これによりソフトバンクは、四百万人を超えるイー・モバイルの加入者を手中にし、KDDIを退け、国内携帯電話業界二位に浮上する。
それよりも重要なのは同社が、携帯電話がもっともつながりやすい「プラチナバンド」と呼ばれる七〇〇/九〇〇MHz帯の電波周波数帯で二社分の帯域を持つ日本で最大の周波数保有会社になるという事実だ・・・