「少子短命化」で沈没するロシア
貧困な医療と蔓延する感染症
2012年11月号
「会議を無事に開催できてメンツを保てたが、会場整備はロシアの力だけではできなかった」
九月八、九日両日のアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議を終えて、ウラジオストクの担当者はこう漏らした。首脳会議の場となったルースキー島の施設はもちろん、ウラジオストク市内から島を結ぶ約一千八百メートルを超える吊り橋や空港など六千億ルーブルの巨費を投じられたインフラ整備を現場で担ったのは、中央アジア、中国、北朝鮮の労働者だった。
ロシアの人口減少は止まらない。これは極東地域の特別な話ではない。BRICsの一員と胸を張りながら、人口減少が成長の足を引っ張る。二年前、ロシアは一つのニュースに沸いた。一九九四年以来減少の一途をたどってきた人口が、十六年ぶりに自然増加した。
「高齢者の数が少なかったことと、政府による強引な出産奨励が功を奏した偶然の産物」
ロシア専門家の一人はこう解説する。実際、一一年度は再び減少し、ロシアの人口は一億四千二百四十一万人とピーク時(九二年)から約六百万人減少している。〇七年に、人口減少を危惧したプーチンは「二〇二五年までのロシア連邦人口政策構想」を策定し・・・