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WORLD

「孤立化」するブラジル経済

「幼稚」な保護主義の大きな代償

2012年11月号

「先進国の金融緩和政策は、新興国に深刻な影響をもたらしている。新興国の正当な防衛手段を保護主義と見なすことは許されない」。ブラジルのルセフ大統領は九月二十五日、国連総会の場でこう述べた。「被害を受けるのは我々新興国だ」。同大統領とマンテガ財務相は米QE・、日銀金融緩和決定後、世界のあちこちでこう述べている。懲りない小芝居はもはや慣例化しており、自国の保護主義への「言い訳」であることは世界中、誰もが知っているところだ。  同国が?みつくのは日米欧先進国だけではない。近隣の中南米諸国にも喧嘩を売るルセフの経済外交は、いつまで通用するだろうか。景気刺激策で七~九月には底を打ったとされているブラジル経済だが、保護主義によって孤立化を深め、その高い潜在力は徐々に失いつつある。

「期待外れ」の烙印押される

「ブラジルは米国の量的緩和を批判すべきではない」。米ゴールドマン・サックスのジム・オニール会長は十月、苦言を放った。BRICsの名付け親である同氏は最近、ブラジルに「期待外れ」の烙印を押している。今や英仏に匹敵する経済大国となったにもかかわらず、その・・・