深まる米連邦議会の「機能不全」 新政権は「何もやれない」 2012年11月号 十一月六日投票のアメリカ大統領選は、オバマ大統領が激戦州でリードを保って最終盤に入った。だが、オバマ再選でも、共和党のロムニー候補が逆転で勝利しても、次の四年間は、「何もできない政府」の烙印を押されるだろう。上院で両党がほぼ拮抗、下院で共和党優勢という分裂政治が続く上に、民主、共和両党の分極化が一段と進むからだ。 「党派対立は先鋭になるばかり」 男がいきなり拳銃を掲げ、次にライフルを構えた。「これはじいさんのピストル、これが親父のライフルだ」。物騒なテレビCMの主は、南部ジョージア州で再選に臨む、民主党のジョン・バロー下院議員だ。三十秒間で訴えたのは、自分は全米ライフル協会(NRA)に支持された候補だ、ということだけ。「オバマ」も「民主党」も口にしない。 「南部民主党は軒並み苦戦です。白人保守層を共和党に持っていかれた上に、共和党に有利な選挙区再編をされたことも痛い」と、在ワシントン政治記者。バローは民主党の穏健派議員で作る「ブルー・ドッグ連合」のメンバー。選挙戦では、共和党から「バロオバマ」と造語を作られ、「大統領べったり男」と攻撃さ・・・