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WORLD

《世界のキーパーソン 》フリアン・カストロ (サンアントニオ市長)

オバマの後を継ぐ「ヒスパニック」

2012年11月号

 今年の米大統領選には、投票前から勝者がいる。その動向が勝敗のカギを握ることになった、ヒスパニックである。全米で五千万人超。スペイン語メディア網と各地の共同体を通じて団結力が強く、大統領選以下、各種選挙で影響力を強めた。選挙後は、民主党も共和党もヒスパニックを前面に出してくるのは間違いない。

 民主党で「次世代の指導者」と衆目一致するのが、テキサス州サンアントニオの市長フリアンと、今年の選挙で連邦下院議員に挑むホアキンのカストロ兄弟(一卵性双生児)。三十八歳になったばかりの、希望の星である。

 特にフリアンは、今年の民主党大会で基調演説者に抜擢されて、注目を集めた。二〇〇四年の党大会では、当時イリノイ州議会議員だったバラク・オバマがこの大役を果たし、一気に全米に名を広めた。フリアンの演説の主題もオバマ陣営好みで、「自由もチャンスもタダでは手に入らない。(貧困層がチャンスをつかむために)投資が必要だ」と述べ、民主党の「大きな政府」路線を熱烈に支持して、満場の喝采を浴びた。

 両親は、テキサス州のメキシコ系コミュニティーでは・・・