アサドはまだまだ倒れない
国内外の支持を失う反体制派
2012年10月号
シリアのアサド政権に陰りが見えない。内戦状態に陥り、反体制派は湾岸諸国や米欧の支援で着実に武装強化しているが、依然、瓦解の兆しは薄いのだ。「シャビーハ」と呼ばれる政府系民兵を使った虐殺疑惑で極悪なイメージを国際社会に植え付けたアサド政権だが、ここにきて、反体制派側も同様の殺戮に手を染めている可能性が急浮上。離反兵士団体「自由シリア軍」ら政権打倒の御旗を掲げてきた反体制派に対する不信感が、市民の間に渦巻き始めている。一時、米欧の高官らから相次いだ「もはやアサド政権は時間の問題だ」という楽観論も、今や鳴りを潜めている。アサド政権は虎視眈々と起死回生の機会をうかがっている。