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社会・文化

プルトニウム「大量保有」の危険

処理技術の確立は喫緊の課題

2012年10月号

 日本の原子力政策が迷走を続けている。九月、政府が決めた「二〇三〇年代に原発稼働ゼロ」という目標は閣議決定されなかった。さらに、日本の原発政策の根幹をなす「核燃料サイクル」について、紆余曲折の末に「もんじゅの重要性は従来通り」(平野博文文部科学大臣)という着地点をみた。 「もんじゅ堅持派も、原発反対派も矛盾を抱えている」  関東地方の原子力研究拠点に所属する研究者の一人はこう語る。御用学者のレッテルも、反原発学者ととられるのも御免だということで匿名を条件にこう指摘した。 「原発事故の反省もなく核燃サイクルに固執する原子力ムラは歪んでいる。かといって、危険なもんじゅを止めればOKと考える反原発派も、『既存プルトニウム』という論点が欠落している」  その上で、核燃サイクルを放棄するが高速中性子炉の技術は継続させてプルトニウムを処理することを提言する。原子力技術の取材を続ける全国紙科学部記者は語る。 「どちらにせよ『もんじゅ』という危険物は廃炉が不可避だ」

メーカーと動燃の罪

 もんじゅにおける一九九五年のナトリウム漏れ事故と、二〇一・・・