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連載

続・不養生のすすめ22

悪玉コレステロールの「汚名返上」
柴田 博

2012年10月号

本年六月、日本動脈硬化学会は五年ぶりにLDLコレステロールの治療基準を改正した。二〇〇七年には他のリスクが一~二ある場合LDLコレステロール百四十ミリグラム/デシリットル以上で薬物療法を行うとしていたのに、他のリスクが少ない場合、百八十未満ではあまり薬を出さなくてよいと変更したのである。総コレステロールの中のいわゆる悪玉とよばれるLDLコレステロールが簡便に分離して測定できるようになったのは十年あまり前のことで、日本動脈硬化学会が百四十ミリグラムの基準をつくった頃はまだ、日本の疫学研究は実っていなかった。

 その状況の中でできた〇七年の基準は拙速のそしりを免れないであろう。〇七年の基準は、他のリスクが一~二あると百四十ミリグラム未満に下げるとしている。しかも、このリスクには男四十五歳以上、女五十五歳以上という年齢がふくまれている。この年齢以上であれば、LDLコレステロール百四十ミリグラム以上であれば、誰はばかることなく薬物を投与してよいということになった。この百四十という数値は、医師のみでなく一般の人々にも強く認識されるところとなった。

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