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経済

東南アジアで沈むヤマハ発動機

日系の二輪車市場独占に黄信号

2012年10月号

「二〇一五年十二月期までに新興国で二輪販売一千万台を目指す」  今年に入り、こう何度も繰り返してきたヤマハ発動機の柳弘之社長は、次期中期経営計画(一三~一五年)でインドネシアに次いでインド、ベトナムへの注力を打ち出した。二輪売り上げの実に九六%を海外市場が占め、いまやグローバル企業の代表格ともいえるヤマハ。確かにこの十年、市場の激変に対応してきたともいえる。同社の二輪事業売り上げ全体に占める国内売り上げは二〇〇〇年の一五・五%から現在は四・二%に急落、同様に欧州市場も四〇・四%から一〇・三%にまで失速した。これを一貫してカバーしてきたのがアジア市場だ。  なかでもインドネシア市場への傾注ぶりは際立っており、全体の四五%を占める。ヤマハが同国への依存を高めてきた理由は、人口の多さ、一人当たりGDPが一千~四千ドルの二輪成長ステージに入ったことに加え、現地資本メーカーがないということに尽きる。冒頭にみる急速なアジア多極展開は、こうしたインドネシア一極集中のリスクを避ける狙いがある。  だが、ここにきての主力市場での思わぬ失敗とその拙速な分散化が、アジアのみならず国際競争からの・・・