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経済

米金融緩和で再暴騰の原油市場

「暴落説」は吹き飛んだ

2012年10月号

 ニューヨークのウォール・ストリートの金融エリートたちは拍手喝采している。ほかでもない。九月十三日に、待望の量的金融緩和政策第三弾(QE・)の実施に米連邦準備制度理事会(FRB)が踏み切ったからだ。  これで、原油をはじめとした商品相場の暴落という悪夢は、ゴールドマン・サックスなど米国の投資銀行の間では雲散霧消し、新たな利ざや狙いに早くもマーケットは蠢き出している。

「百五十ドル突破は間違いない」

 あるウォール・ストリートのエコノミストは、「MBS(住宅ローン担保証券)の買い取りにとどまらず、いずれFRBは米国国債の購入を始め、原油をはじめとした商品市場に大量のマネーが流れ込む」と予想する。FRBによる金融緩和政策の発表を受けて、最も大きな影響を受けるのは原油相場だ。欧州諸国の信用危機、中国経済の減速にもかかわらず、依然として高止まりを続ける原油市場だが、唯一の不安材料だった中国特需の剥落という不安要因を、米国の金融緩和がものの見事に払拭したかたちだ。  早速、マーケットは反応した。金融緩和発表翌日十四日のWTI原油価格は一バレル百・・・