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経済

投機筋に欧州「買い」の兆し

QEIII発動とドラギ発言が後押し

2012年10月号

「あの弱気のマーク・ファーバーがテレビで“欧州株買い”を主張し始めたんだから、驚きだ。例によって、三カ月以内に二〇%ぐらい下がるかもしれないと主張しているが、本当に弱気ならショート(空売り)を勧めるはずだ。同じ番組では『債券ではなく、株式に投資』とまで言うんだから、リスクオンに切り替えたということさ」  マーク・ファーバー氏―スイス出身の著名な投資家で、現在タイと香港に在住している同氏は過去に数々のクラッシュ(暴落)を予測したことで金融界にその名を知られる。一九八七年のブラック・マンデーを予見したのに引き続き、当時日経平均三万円時代に、「日本株のバブルは日経平均八千円まで下がらないと終わりのサインは出ない」と指摘し、これまた的中させた。米投資情報誌「バロンズ」の新年座談会の常連で、リーマンショック以来は弱気の姿勢を貫き、わずかに金と新興国市場でポジションを取っていたに過ぎない。  今回も月一回のニュースレターで顧客へは「ポルトガル、スペイン、イタリア、フランスの株を買い、下落があればさらに買う。私の人生で初めて欧州株への投資を始めた」と述べている。欧州投資開始の理由は「もう・・・