政官が壟断する「国境離島振興」
早くも利権誘導の具に
2012年10月号
わが国にはギリシャとほぼ同数――六千八百の島がある。そのうち、有人島は三百五(法指定)、そこに約六十万人が暮らす。
レームダック化した民主党政権は外交失政でその稚拙さを露呈したが、このまま手をこまねいていれば竹島、尖閣諸島につづく第三の問題離島が出現しかねない。高い関心が寄せられる国境離島だが、対馬、与那国島、佐渡島……、どこの国境離島も過疎と高齢化が深刻で、ここ五年で人口は一割も減っている。
十年前の離島振興法改正では、初めて「領域」や「排他的経済水域(EEZ)」を法目的に盛り込み、離島防衛上の大きな一歩を記した。しかし去る六月、十年ぶりに成立した改正法ではこの分野での進展は一切見られなかった。すでに、四月の段階で石原慎太郎東京都知事による尖閣諸島購入案が提起されていたにもかかわらずだ。見るべき成果がなかったことは、共産党や社民党を含む与野党七党合意の全会一致で可決されたことが物語っている。
それどころか、所管省庁が四つ(厚生労働・経済産業・文部科学・環境)も増え、これで従来の国土交通、総務、農林水産に加えた七省体制になった。相変わらずのタテ割り分業体制で、責任・・・