中国から逃げ出す日系企業
「高リスク・高コスト」は今後も
2012年10月号
潮流には必ず変わり目がある。一九八〇年代後半に始まり、九〇年代半ばから怒濤の勢いとなった日本企業の中国進出という大きな産業潮流は、今年九月をもって大きな転換点を迎えた、といえるだろう。中国でつくり、グローバル市場に輸出するという輸出型生産拠点は怒濤の逆流現象で、東南アジア、南アジアに移っていくだろう。中国国内市場向けに生産する工場の中でも東南アジア諸国連合(ASEAN)に逃げ出し、中国とASEANの自由貿易協定(FTA)を活用して中国に輸出する例が急増するとみていい。将来も中国に必ず残るという日本企業は中国国内向けの販売会社やサービス産業に限られるだろう。
日中経済関係は数年前には想像もできなかった大変化を遂げる可能性が高い。