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《世界のキーパーソン》ジム・メッシーナ(オバマ陣営選挙対策本部長)

オバマ再選を託された若き「参謀」

2012年10月号

「これは困った」と感じた時、成功する経営者は、「何とかしてくれる部下」を常に想起するものだ。バラク・オバマの場合は、この人物。経済が低迷し、支持率もさえない中での再選は、難事業である。大統領は、難局打開の手腕ではホワイトハウス随一のメッシーナに、選挙戦の総指揮を託した。

 一九六九年にコロラド州デンバーで生まれ、モンタナ州で育った。東西両海岸出身者が多い民主党幹部では珍しい、「ウエスタン・デモクラット」だ。小学生の時から政治に興味を持ち、モンタナ大学時代から政治の現場に入った。二十代前半で、同州ミズーラ市長選の選挙戦を仕切って、民主党候補を当選させ、天職を見いだした。資金集め、集会、草の根運動と、選挙戦のすべてが、若者を興奮させたのである。今も「(ジャンクフードの)安っぽい油のにおいで充満した、選挙事務所の雰囲気がたまらない」と語る。

 まもなく、モンタナ州選出のマックス・ボーカス上院財政委員長に見いだされ、三十代半ばには首席補佐官になった。連邦上院の大ボスの筆頭秘書だから、閣僚や各省庁の幹部はもちろん、ホワイトハウスの幹部とも互角に渡り合う・・・