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経済

りそながシャープを見殺しに

非力なメーンバンクを戴く悲劇

2012年9月号

「もはや限りなく『存在感ゼロ』とでもいった有り様だな」。りそな銀行の法人向け融資担当者が自嘲交じりに嘆息する。  液晶テレビ事業などの不振で崖っ縁に立つ電機大手のシャープ。その主要取引行三行の一角に名を連ねながら、シャープが希求する銀行支援の枠組みに同行の影はほとんど映らない。台湾・鴻海精密工業との資本提携交渉難航で誤算が生じた資金収支計画の穴を埋めるために七月末に実行された約六百六十億円のつなぎ融資も、供与したのはメーンバンクとされるみずほコーポレート銀行(CB)と、三菱東京UFJ銀行(BTMU)の二行のみ。現在、シャープ側が要請しているとされる二千億~三千億円の追加融資も「大半をこの二行で負担するスキーム」(関係者)とされている。  昨年十二月末時点では一千三百七十億円に過ぎなかったシャープの短期借入金。業績悪化とそれに伴う信用力低下で、これまで依存してきたコマーシャルペーパー(CP)の新規発行が困難になっているためだろう。今年六月末時点ではそれが三千三百六十五億円へと一気に二・四五倍超にも膨らんだ。金融筋によると、この間、その資金繰りの大半を支え続けたのもCBとBTM・・・