漂流する富士ゼロックス
親会社への統合観測が浮上
2012年9月号
精密機器の名門、富士ゼロックスが「漂流」を続けている。
「複写機は卒業した。もう精密機器会社と呼ばないでほしい」
二〇〇九年、ITコンサルティング事業などを柱とする事業転換を目指すと大見栄を切った富士ゼロックスの山本忠人社長。主力の複合機事業の不振をソリューション事業に軸足を移すことで見事復活を遂げた米本国のゼロックス・コーポレーションに倣ったものだ。国内では複写機の過当競争を受けて業績は低空飛行を続け、〇七年度に一・二兆円以上あった売り上げは、ここ三年は一兆円を超えることは一度もなく、売り上げに対する純利益率も低いまま。いわば、複合機事業ではこれ以上の成長は難しいと観念した揚げ句の「脱皮宣言」だったハズだ。
あれから三年、ITコンサルティング事業と銘打った新機軸の中身はといえば、通販や旅行案内といった各種ダイレクトメールやカタログの印刷・送付を請け負うという印刷会社顔負けのサービスだが、競合他社の失笑を買うばかりで鳴かず飛ばず。
しかも、複合機事業は卒業したはずが、低迷する業績への焦りから、舌の根も乾かぬうちに再び中国市場で拡大戦略に手をつけるという迷走ぶりだ・・・