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経済

米金融緩和に投機筋が虎視眈々

国債から株式へ資金が急転換

2012年9月号

「いまのヘッジファンドの運用手法は、その投資戦略によって全くバラバラだ。ユーロがらみでの動きひとつとっても、欧州系銀行による資産売りを待っているまだまだ弱気組と、そろそろ買いに転じ始めたグループが半々だ」  ユーロ危機自体は小康状態を保つ中、底堅い日米国債などへの投資で着実な収益を上げながら、次なる機会を虎視眈々とうかがう投機筋の動向を、ある有力ヘッジファンドマネジャーがこう解説する。  だが、ここにきて状況はにわかに一変しそうだという。かねて金融界などが求めてきた米連邦準備制度理事会(FRB)の量的緩和策第三弾(QE・)をめぐる「情報」に、色めき立っているのだ。

「リスクオン」へ一挙に転換

 ヘッジファンドの投資手法はその戦略によって、マクロ、イベントドリブン、エクイティ・ヘッジ、相対バリュー、ディストレストなどに大別される。南欧諸国のソブリン債を売り、底値になったところで再び買いに転じて二重に儲けようという戦略はどの手法でも変わりはない。しかし、ディストレストでは投機資金が大量に流入しているのに対し、欧銀からの売り物が意外に少なく・・・