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政治

《罪深きはこの官僚》 河相周夫(内閣官房副長官補)

官邸外交崩壊のA級戦犯

2012年9月号

「領土問題などで緊張が高まる中で、事務次官に一番相応しくない人物」
 外務省幹部は、内閣官房副長官補の河相周夫をこう評する。しかし、九月以降の人事で、河相は次期事務次官になることが内定している。実際、この間立て続けに持ち上がった、竹島、尖閣を巡る日韓関係、日中関係について「河相が率先して動くことはなかった」(官邸キャップ)。そればかりか、猟官運動を水面下で続け、事務次官ポストを手に入れたというから呆れかえる。河相については「絶対に上に盾突かない」(前出外務省幹部)ということで衆目が一致する。原因は政治に翻弄され、手痛い挫折を味わったためだという。

 一九七五年に入省した河相は、一橋大学卒ではあるが、総合外交政策局総務課長という「登竜門」をくぐり、駐米公使、北米局長、総合外交政策局長というエリートコースを歩んできた。
 自民党時代の福田康夫内閣で官房副長官補に起用されたが、続く麻生太郎内閣発足とともにわずか二カ月で解任され本省官房長に「降格」された。「自由と繁栄の弧」構想を掲げて対中包囲外交を目指す麻生にとって、福田と近い河相は邪魔だったのだ。こ・・・