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政治

混沌の「領土危機政局」

「十月解散」をめぐる虚実

2012年9月号

 かねて政界の一部にあった「野田佳彦強運説」が俄かに説得力を持ち始めている。八月十日に野田が政治生命を懸けた消費増税法が成立した時点で野田の命脈は尽きたかに見られた。野田は成立直後の記者会見で異例の発言を行った。 「消費税は二〇〇九年の衆院選の民主党マニフェストには明記していなかった。深く国民にお詫びしたい」  自民党幹部の中には突然の「お詫び」を「退陣示唆」と受け取った議員もいたほどだ。たしかに法案をめぐる小沢一郎との民主党内の権力闘争の結果、民主党は四分五裂。なお多くの・離党予備軍”を抱え、野田は満身創痍、青息吐息の状態にある。  消費増税法の成立に協力を求めた自民党総裁谷垣禎一とのトップ会談で、「近いうちに信を問う」との言を弄して何とか谷垣から法案賛成の約束を取り付けたものの、「詐欺まがい」(自民党幹部)の発言は自公両党の怒りに火を点けた。消費増税には賛成した自公が倒閣に動く。党分裂に加えて衆参ねじれ国会の現状からすれば、どう見ても野田に展望はなかった。   その消費増税法の成立に向けて参議院本会議でまさに採決が行われようとしている時に韓国から衝撃的ニュースが・・・