イタリアを食い潰す「マフィア」 強大な「寄生虫」に打つ手なし 2012年9月号 債務危機に苦しむイタリアが、犯罪組織により機能不全に陥っている。マフィアの代名詞であるシチリアの「コーザ・ノストラ」に加えて、各地の犯罪組織が、政治家と官僚を巻き込んで、公金をむしり取る。マリオ・モンティ首相の「専門家内閣」が手におえるものではなく、ユーロ圏第三の経済大国は破綻の道を歩んでいる。 巨額の開発事業費を意のままに 今夏のシチリアは四十度の猛暑で、山火事が頻発した。島の北西部にあるジンガロ国立公園でも、八月初旬に火事に襲われ、周辺のホテルは、水と電気の供給が途絶えた。「この島には森林保護の職員が二万七千人もいるのに、簡単な作業さえできない」と、現地当局者は怒りをあらわにした。 多いのは、森林保護員だけではない。水利事業にも莫大なカネがつぎ込まれた。「シチリアにはダムが三十あるが、計画通り機能しているものはなく、すぐに水不足に陥る」と同当局者。水利や森林保護など、巨額の公金が流れ込む事業は、コーザ・ノストラに押さえ込まれている。配下の建設業者に契約をばらまき、組織関係者が管理職員になる。「シチリアの水は、マフィアの人質」(・・・