領土問題で米国は頼れない
「強い日本」こそ最善の打開策
2012年9月号
世論ばかりに気を配って国益などは念頭にないのが日本の政治家だから期待はしていないのだが、それにしても遅すぎる。香港から来たと称する暴力団まがいの中国人が尖閣諸島の魚釣島に上陸したのは八月十五日だ。その後何を考えていたのかはわからないが、九日も経った二十四日に野田佳彦首相は国民の安全を保障し、領土、領海を守るために「首相として、この重大な務めを毅然とした態度で冷静沈着に果たし、不退転の覚悟で臨む決意だ」と述べた。二十七日には丹羽宇一郎駐中国大使の乗った公用車が北京市内で襲われ、日の丸を暴漢に強奪された。
「不退転の覚悟」を遅ればせながら口にすることは結構だが、ズバリ言って戦争を前提にしているかどうか。答えは日米安保条約への依存だろう。が、米国は中国との間で日本の国益を守るための戦争をする気はない。ましてや、天皇陛下への侮辱的発言や野田首相の親書を受け取らないなど奇矯な言動をする韓国大統領と日本の争いにワシントンは開いた口が塞がらないという心境だ。
9・11同時多発テロからちょうど十年目の昨年、首謀者オサマ・ビンラディンを殺害してからの米国民一般の感情は海外での過剰関与を慎・・・